技能伝承ってどんなこと?
そんな疑問に答える「技術・技能伝承の第六回」です。
☑記事の内容
- 能力項目リストについて
- 能力項目リスト作成の進め方
- 能力項目リストの活用とは?
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説します。
能力項目リストについて
能力項目リストとは、業務を構成している仕事もしくは作業を行うために必要な知識・技能・態度をリスト化したものです。
全ての仕事もしくは作業について作成する必要はありません。必要と判断されたもの似ついて作成します。
技術・技能伝承の過程においては技術・技能を伝承する必要がある仕事もしくは作業について能力項目リストを作成します。
例えば熟練者Aさんが退職するにあたり技術・技能伝承を行うのであれば、熟練者Aさんが行っている仕事もしくは作業について網羅的に作成する必要があります。
能力項目リスト作成の進め方
能力項目リストを作成する仕事もしくは作業については前項で説明しました。
リスト作成はその仕事もしくは作業について詳しい人、継承する予定の人等3~5人程度で行います。
継承する仕事もしくは作業をジョブ(Job)とし、そのジョブを行うために必要な能力(アビリティ)をポストイットなどの大き目(75mm×75mm以上)に記入していきます。
記入の際は重要度を5段階で記載することも必要です。能力は「~~
が~~できる」といったように具体的に記入します。
この時ジョブを縦軸に重要度の高い順に並べ、能力を横軸に並べていきます。能力も重要度順に並べることで図の上でかつ左側に行くほど重要度順に能力が並んだリストが出来上がります。
この能力のなかで暗黙知を多く含むものをあらかじめ確認しておくことも重要です。
能力項目リストの活用とは?
能力項目リストは活用方法があります。
代表的な活用方法は職場の能力マップの作成です。能力マップとは一人ひとりの作業者が保有する能力水準を把握するものです。
能力を縦軸に、作業者の名前を横軸に記載します。それぞれの能力について評価し、数値化(レベル1~レベル5)して記入していきます。この時能力の高い評価ほど濃い色で塗りつぶし高い→低い順に濃い→薄いとすることで視覚的に不足している能力の把握ができます。
この能力マップは
- 人材育成の計画
- 能力開発の計画
- 技能伝承の重点項目検出への活用
- 教育前、教育後の能力の変化の測定
- メンバー選抜の判断基準
- 将来的に不足する能力の推測
など幅広く活用できます。
まとめ
記事のまとめです
- 能力項目リストとは、業務に必要な知識・技能・態度をリスト化したもの
- 作成は熟練者、継承者を含む数人で行う
- 能力項目リストをもとに能力マップの作成が可能
今回は能力項目リストの作成について解説しました。
作るためにはそれなりの工数が必要ですが、そのメリットは大きいのでコストをかけて作成する価値があります。
職場や現場の将来、会社内の重要な技術・技能伝承のためにも作成を進めていきましょう。