改善するために必要な「○○化」って何?
そんな疑問にお答えします。
☑記事の内容
- 改善って何をするの?
- 改善を行う具体的な5つの「○○化」
- 改善を行うために必要な考え方
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説します。
改善って何をするの?
改善って現場や職場でよく使う言葉だと思いますが、「改善って何?」と質問されると意外に答えられないものです。改善について再確認をしましょう。
改善とはWikipediaによると以下の意味があります。
改善(かいぜん)とは、誤りや欠陥、ミスを是正し、より良い状態にする事、行為。
日本の製造業で生まれた工場の作業者が中心となって行う活動・戦略のことである。日本国外でも通用する言葉であり、本来の意味と区別するためにカイゼン、Kaizenとも表記される。
Wikipedia
つまり、「今あることで悪い状態やよくない状態を改めより良くする活動」を改善というわけです。「今の状態」をハッキリさせて、「どうするか」を考え、「よくするために活動」することです。
改善を行う具体的な5つの「○○化」
改善とは何をするべきかはっきりしたので具体的に行うことを解説します。
改善を行う基本的な取り組みは5つの「○○化」です。
- 可視化
- 定量化
- 課題化
- 実践化
- 定着化
の5つを順番に取り組んでいきます。
可視化
最初に「可視化」を行います。
改善を行うためには「今の状態」をはっきりさせて問題点を洗い出す必要があります。
現場の「業務」と「そこに潜んでいる問題」を見えるようにしていきます。
標準作業表や業務フロー図などを利用して業務内容をまとめてます。それを基に現場を観察、作業者からのヒアリング、品質状況などさまざまな視点から確認し問題を見つけ把握していきます。
定量化
問題が可視化出来たら次は「定量化」を行います。
「どのくらい」の問題を「どの程度」まで「どれぐらいのコスト(時間×人)」で改善していくのかを定量的にします。
問題点を見つけたところから改善していては人手が足りず効果が上がらない、、、。といった事態になります。
まずは問題点を「どのくらい問題なのか」と定量的に表現してみましょう。パレート図などを利用することが多いです。
取り組むべき問題をを決めたら「どの程度」まで改善を行うことを目標とするのかを決定します。これにより「どれくらいのコスト」もはっきりと決まってきます。
このように「定量化」を行うことで改善活動を計画的に行うことができます。
課題化
解決すべき問題点を定量化出来たら、実行するために「課題化」を行います。
実際に改善を行うために必要なタスクを洗い出していきます。このタスクの洗い出しの精度で改善活動の成功率や効果が大きく変わってきます。
やるべきタスクの洗い出しが終わったら、そのタスクの評価基準と方法についても決定をしておきます。
評価方法と基準を決めておかないと、「このタスクはこれでいいのかな、、、?」と次のタスクへ取り掛かれなくなるからです。
実践化
問題解決への課題化が終わったら「実践化」を行っていきます。
実践化で大切にすべきことは「課題化で設定したタスクを確実に実践する」ことです。
計画外のタスクを行っていると場当たり的な対応となり効果も出ないばかりか、時間と資源の無駄になります。
定着化
実践化で問題を解決できれば元に戻らないように「定着化」を確実に行います。
改善活動で改善したことは定着させなければ元の姿に戻って改善効果が失われてしましまいます。なぜなら改善で新しくなった作業よりも、慣れている今までの作業を行うことの方が楽だからです(変化を拒む人間の本能が働くのです)。
元に戻らないように定着化を行います。作業標準を改定して定着初期段階は定期的に手順を確認したり、物理的に工程のレイアウトを変更してもとに戻れないようにしたりします。
改善を行うために必要な考え方
改善を行う上で必要な考え方があります。それは
失敗しても安易に元に戻さない
です。改善を行っていると失敗や効果が上がらないことが多くあります。成功の回数より多いくらいです。
失敗しても元に戻さずに改善を積み重ねる必要があります。
失敗してしまった現場を観察し「なぜ失敗したのか?」「何が足りないのか?」「何か余分があるのか?」「成功するにはどうしたらよいか?」と考え抜くことが必要です。
この失敗を成功に変えていく過程で「改善力」が鍛えられます。
ですので、失敗改善を安易に元に戻すということは「改善力」を鍛えることを放棄することになるので行ってはいけないと考えるべきなのです。
もちろん、日々の生産に影響が出ている場合は一時的に戻して生産を行う柔軟さは必要です。
まとめ
記事のまとめです。
- 改善とは、「今あることで悪い状態やよくない状態を改めより良くする活動」
- 改善を行う基本的な取り組みは5つの「○○化」
- 可視化
- 定量化
- 課題化
- 実践化
- 定着化
- 改善は失敗から成長する
改善を実践するための具体的な手順について解説しました。
正しい手順で、あきらめずに考え抜けば結果的に良い改善となります。少しの失敗であきらめずに改善を積み重ねましょう。