【初心者でもできる!】TPMでの自主保全活動の進め方を詳しく解説

TPM

自主保全活動ってどうやって進めるの、、、?

そんな疑問にお答えします。

☑記事の内容

  1. 【初心者でもできる】自主保全活動の進め方
  2. 自主保全活動ってそもそも何なの?きちんと理解をしましょう。
  3. 自主保全活動の推進にお役立ちのルーツとは?

自動車メーカー工場で改善活動の指導・教育を10年以上行ってきたプロが解説します。

自主保全活動を支える自主保全士の資格については良いことだらけ‼】自主保全士取得のメリット10選と資格の詳細の記事で詳しく解説しています。

【初心者でもできる】自主保全活動の進め方

自主保全活動は3つの基本構成からできている、7つのステップに分けて実施します。

3つの基本構成について

  1. 劣化を防ぐ活動
    • 第1~第3のステップです。
    • 設備の清掃、点検を中心とした活動になります。
    • 設備の基本条件を徹底的に整備し、それを維持していける体制にします。
  2. 劣化を測る活動
    • 第4~第5のステップです。
    • 五感から理屈に裏付けされた日常点検を目指します。
    • 「設備に強いオペレーター」を目指す段階です。
  3. 標準化と自主管理の活動
    • 第6~第7ステップです。
    • 標準化と自主管理の仕上げの段階です。
    • オペレーター自身が必要な保全技能の完成を目指します。

自主保全の7ステップ展開について

  • 第1ステップ 初期清掃(清掃点検)
  • 第2ステップ 発生源、困難箇所対策
  • 第3ステップ 自主保全仮基準の作成
  • 第4ステップ 総点検
  • 第5ステップ 自主点検
  • 第6ステップ 標準化
  • 第7ステップ 自主管理の徹底

各ステップについて解説してきます。

第1ステップ 初期清掃(清掃点検)

第1ステップのねらいは「不具合を不具合として見る目を養う」ことです。

清掃点検

設備の清掃点検をすることで不具合の洗い出しを行います。

設備周辺の不用品等の撤去も行います。

隅々まで清掃しおかしな所がないか確認します。

すぐに直せるものは直しましょう。

清掃点検で不具合とするものは以下の項目です。

  1. ゴミ、汚れ
  2. 曲がり、摩耗
  3. 振動、振れ
  4. 漏れ、飛散
  5. サビ、キズ
  6. 異音、発熱
  7. ゆるみ、ガタ
  8. 偏心、傾き
  9. 異臭、変色
  10. 欠け、抜け
  11. 異常な動き

点検の具体的な方法としては「目で見る」「耳で聞く」「表面を手で触れてみる」「カバー等を外してみる」「においを確認する」で確認していきます。

エフ付け、エフ取り活動

確認できた不具合にエフをつけていく「エフ付け」をおこないます。

”エフイメージ画像添付”

つけたエフは通し番号をつけ、リストで管理します。

エフはオペレーターで処置できる「白エフ」と保全部門やに依頼する「赤エフ」があります。

不具合を直したらエフを回収する「エフ取り」を行います。

第2ステップ 発生源、困難箇所対策

第2ステップのねらいは「不具合箇所を発見する能力と改善する能力を養う」ことです。

発生源対策と困難箇所対策

第1ステップで見つけた不具合箇所の発生源への対策や、点検の困難箇所に対策を行います。

汚れの不具合については清掃を行うのではなく、汚れがどこから発生しているのかを突き止めて発生源対対策をします。

切削油の油が飛散しているような場合は汚れの範囲を最小限化できるよう飛散防止カバーを取り付けるなどを行います。

ベルトの点検等でカバーを外す必要のある場合はカバーに点検窓をつけるなどの工夫を行います。

維持管理

エフ付け、エフどり活動から得たデータを参考にして、必要な維持管理個所のリストアップをします。

油の漏れや、圧力、動き、異音などで不具合があった場所は維持管理していく必要があります。

維持管理箇所について、困難箇所があれば対策を進めて維持管理にかかる時間の短縮を行います。

第3ステップ 自主保全仮基準の作成

第3ステップのねらいは「設備の基本条件を守ることの重要性を学ぶ」ことです。

姿図を描き機構構造を学ぶ

設備の姿図を描くことで機能、構造を学びます。

アナログな方法ですが、手を動かし姿図を描くことで部品の位置関係、オイルの流れ、駆動系の関係などへの理解が深まります。

仮基準(設備基本条件を守る行動基準)を作る

設備のあるべき姿に向けた基準書を作成していきます。

基準書はできるだけ全体図や部位図を用いて点検箇所がわかりやすくする工夫が必要です。

清掃、点検、給油についての基準書を作成します。

清掃基準書の項目は、基準、部位、清掃方法、清掃周期、清掃時間、清掃時間の改善状況や履歴等で作成します。

給油の基準書は、給油作業が多い場合は給油作業のみの基準書、少なければ点検基準書と一緒にすることが一般的です。

給油基準書の項目は、基準、油種、油量、油量の確認方法、給油箇所等で作成します。

点検基準書の項目は、基準、部位、方法、使用工具、異常時の処置等で作成します。

第4ステップ 総点検

第4ステップのねらいは「総点検教育で得た知識、技能を現場で実践する」ことです。

点検技能教育の実施

どういった点検をどのようにするのか?その構造は?などの教育を行い実際に確実な点検ができるようにします。

人により理解度のばらつきがあるときは、理解度の高い人の協力を得て進めていきます。

ワンポイントレッスンを作成することが一般的です。

総点検による微欠陥の摘出

実際に点検基準書に沿って点検を行ってみます。それにより不具合個所をさらに見つけることもあります。

見つけた不具合は直しましょう。

点検しやすい設備へ改善

点検しやすいようにゲージに適正範囲の表示や、基準油量のマーキング、ベルトやエアー、液体の方向の表示等の見える化を行います。

また、バルブの開閉等は「運転時 開」などの表示札の作成を行います。

第5ステップ 自主点検

第5ステップのねらいは「目で見る管理の実践と自主保全と専門保全の区分の明確化を行う」ことです。

自主保全と専門保全の区分け

保全部門とミーティングを行い、必要な点検や整備について区分けを進めていきます。

自主保全活動を通じて意外な部品の交換が必要なことが判明してる場合は保全部門に伝え、保全カレンダーへ落とし込んでもらいます。

基準書チェックシートの改定

区分けにより、点検周期や異常時の処置方法など変更があった個所の改定を行っていきます。

これにより仮基準から本基準書になります。

第6ステップ 標準化

第6ステップのねらいは「管理のための標準類の重要性の確認をする」ことです。

一般的な標準化は「統一のルールを決め、合わせること」ですが、自主保全活動においては標準化に加え、標準化の維持管理についても活動します。

自主保全の基準の管理

第5ステップで出来上がった基準書が本当に実施ようにしていきます。

この基準書をどうやって行うのかのルールを決めるには、自主保全活動を実際に進めていけるように、点検の時間の確保をします。

例えば、「稼働前10分」、「昼休憩後5分」、「終業後10分」などの時間を確保します。

基準書があっても実際の時間が明確に確保されていないと現場で続けていくことは困難です。

また守りやすく改善するすることも必要です。

改善の4原則である「ECRSの法則」などを活用します。

標準類の改定

標準類を改定して標準化を確定します。

第7ステップ 自主管理の徹底

第7ステップのねらいは「自主保全のしくみを自分たちで回す」ことです。

上位方針とリンクした改善

上位方針から自分たちの職場で解決すべきテーマをに取り組んでいくことが大切です。

その改善に取り組むことで生産活動全体のレベルアップにつなげていきます。

PDCAサイクルを回す

自主保全活動で出来上がった自主管理を行うためにPDCAのサイクルを回すことが大切です。

「確実に行えているか」「行いやすくするためにはどうすべきか」と改善サイクルを回していきます。

自主保全活動ってそもそも何なの?きちんと理解をしましょう。

自主保全活動とはオペレーター一人ひとりが全員参加で自分の使っている設備の管理を行い、設備を正しい姿で維持し、正しい運転を行うための活動です。

TPM活動の中で最も基本的な活動と位置付けられています。

つまり、オペレーターは造る人、点検修理は保全部門といった一般的な考え方から脱却するということです。

この活動は会社や部門にもメリットがあるのですが、オペレーターにもメリットがあります。

  1. 設備の故障がなくなり、快適に仕事が出る
  2. 設備に愛着がわく
  3. 自己成長を感じることができる

などが代表的なメリットです。

つまり自主保全活動とは「設備に強いオペレーターになる」ための活動なのです。

自主保全活動の推進にお役立ちのルーツとは?

自主保全には三種の神器と呼ばれているものがあります。

  1. 活動版
  2. ミーティング
  3. ワンポイントレッスン

それぞれ解説していきます。

活動版

活動版は方針・目標・活動計画や進捗状況など関係者全員で共有するためのツールです。

サークルごとに作成するサークル活動版次のような効果があります。

  1. 全員が見ることができることで活動を推進することに役立つ
  2. 管理者、他サークル員などが見たときにそのサークルの活動状況がわかる
  3. 管理者にとって部下の指導に必要な活動進捗状況、レベル、問題点を知ることができる
  4. 優れた改善や資料が他サークルで水平展開への参考資料になる

ミーティング

ミーティングは活動のリーダーシップ、メンバーシップを発揮することが重要です。

活動版を前にして行うことで、何をするべきかを明らかにします。

反省、勉強の場としても活用できます。

メンバーの全員が発言できるように以下の工夫が必要です。

  1. 情報の共有化とメンバー間の知識のレベル合わせを行う
  2. 命令や強制はしない、合意で活動に参加できる雰囲気づくりを行う
  3. 全員がムラなくいけんが出せるようにリーダーは促す
  4. 効率の良いミーティングを行えるよう、事前準備や内容の周知を行う
  5. 短時間のミーテイングを回数多く繰り返す

ワンポイントレッスン

ワンポイントレッスンは5分程度で教えることを前提とした教育ツールです。

現場ではまとまった時間を確保しての教育が難しいため活用されます。

また、1回あたりの時間が短いので復習も容易です。

作成時の注意点は以下になります。

  1. 自分が考えて、自分で作る
  2. 1テーマ1枚を守る
  3. 体験者、発見者が作成することが原則
  4. 図、表、絵、写真などでわかりやすくする
  5. 文字は大きく読みやすさを意識する

まとめ

記事のまとめです。

  1. 自主保全活動は7ステップで行う
    • 第1ステップ 初期清掃(清掃点検)
    • 第2ステップ 発生源、困難箇所対策
    • 第3ステップ 自主保全仮基準の作成
    • 第4ステップ 総点検
    • 第5ステップ 自主点検
    • 第6ステップ 標準化
    • 第7ステップ 自主管理の徹底
  2. 自主保全活動とは「設備に強いオペレーターになる」ための活動
  3. 自主保全の三種の神器
    • 活動版
    • ミーテイング
    • ワンポイントレッスン

自主保全活動の進め方について解説しました。

第1ステップから第7ステップまではかなりの時間が必要ですが、それに見合った効果は必ずあります。

コツコツと積み上げて活動を進めていきましょう。

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