また問題が起きてしまった、、、。どうやって報告しようか、、、。
そんな悩みにお答えします。
☑️記事の内容
- 職場の問題を【論理的】に解決する方法を紹介
- 問題解決ストーリー(QCストーリー)の進め方
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説します。
職場の問題を【論理的】に解決する方法を紹介
現場や職場の問題を論理的に解決する方法は「問題解決ストーリー(QCストーリー)」を使って問題解決に取り組むことです。
「問題解決ストーリー(QCストーリー)」は7つのステップで問題を解決していく方法です。
品質問題の改善に使われていたことからQC(Quality Control 品質管理)ストーリー、QC手法とも呼びます。
問題解決ストーリーを使うことによって現在起きている問題の他に職場に潜んでいる問題や課題を特定し、問題解決や課題解決につなげることができます。
何より論理的かつ統計的なアプローチで解決していくので「報告」が必要な方にはオススメできる方法です。
問題解決ストーリー(QCストーリー)の進め方
問題解決ストーリー(QCストーリー)は大きく8つのステップで進めていきます。
- テーマの選定
- 現状の把握と目標の設定
- 活動計画の作成
- 要因の分析
- 対策の検討と実施
- 効果の確認
- 歯止めと標準化、管理
- 反省と今後の計画
各ステップについて説明していきます。
今回は現場で「A製品の不良率が10%を超えた」という問題について報告することを例とします。
ステップ1 テーマの選定
現在の職場の中から何について問題解決に取り組むかを決めるステップです。
今回は「A製品の不良率が10%を超えた」と問題解決のテーマが決まっています。
このテーマが会社全体や職場全体、品質全体の中でこの問題がどの程度問題なのか?をはっきりさせることにより改善した時の効果を予測します。
グラフで表すことが多いと思いますが、QC7つ道具のパレート図を利用するといいでしょう。
ステップ2 現状の把握と目標の設定
現状の把握でテーマについての事実確認を行い目標を設定します。
事実確認は5ゲン主義で考え、5W2Hでの表現をすることで抜けやモレのない確認を行います。
データを元にした客観的な事実確認を行うことが重要です。
また、この現場の把握で集めたデータは要因分析でも活用することがあります。
今回は「A製品の不良率が10%を超えた」と問題解決のテーマが決まっています。
「A製品の不良がいつ発生しているのか?」「どこで発生しているのか?」など発生のばらつきがわかるようなデータを集めましょう。
目標の設定にも必要な考え方です。この5ゲン主義で考え、5W2Hで表現しないと無理な目標になってしまいます。
ステップ3 活動計画の作成
活動の計画を作ります。
各ステッを「いつまでに」「どのくらい」「誰が」行うのか決めます。
報告までの時間が短い場合でも作るようにしましょう。
今回は「A製品の不良率が10%を超えた」と問題解決のテーマが決まっています。
2ヶ月後が期限としてあれば、2ヶ月後までの「歯止めと標準化、管理」各ステップの計画を立てます。
時間配分や各ステップにかかる期間がわからない。と思われる方も多いと思います。
そういった場合は、均等に割り当てて問題ありません。
1回目の報告期限までには「対策の検討と実施」まで進め、その後の経過報告を各ステップごとに行うと良いです。
ステップ4 要因の分析
テーマについてなぜ起こってしまったのかを分析します。
問題の再発防止策を考えるための分析なので抜けやモレの内容にします。
なぜなぜ分析や特性要因図といった手法を活用します。
今回は「A製品の不良率が10%を超えた」と問題解決のテーマが決まっています。
現場分析で「いつ、どこで」不良が発生しているかはっきりしているので、その現象に絞り込んでから分析を行なっていきましょう。
ステップ5 対策の検討と実施
分析結果をもとに対策案の検討を行います。
基本的には分析で導いたことの裏返しが対策になります。
「設備の部品Cを取り付けているスプリングの向きが反対」なら「スプリングの向きを正しくする」が対策案です。
この「スプリングの向きを正しくする」についてどうするかをかんがえていきます。
単純に「正し向きに戻す」ではなく、その後発生しない仕組みである再発防止策を考えます。
ほとんどの場合、ecrs(イクルス)の原則で考えます。
ecrs(イクルス)とは
- Eliminate(排除)
- Combine(結合)
- Rearrange(交換)
- Simplify(簡素化)
の英語の頭文字です。改善の4原則と呼ばれています。
考え出した対策案を実施していきましょう。
ステップ6 効果の確認
効果の確認はデータで行いましょう。
基本は現状の把握、要因の分析で集めたデータと同じデータを集めます。
対策前と対策後の違いがわかりやすいためです。
目標値の達成ができているか?コスト的にはどうか?なども十分に確認しましょう。
今回は「A製品の不良率が10%を超えた」と問題解決のテーマが決まっています。
ですので「A製品の不良率」の確認「発生のばらつき」の確認「金額的な影響」の確認が必要です。
効果が出ていない場合は、要因の分析、対策の検討、対策の実施のどこに問題があります。
見直して問題のステップに戻るようにしましょう。
ステップ7 歯止めと標準化、管理
対策の効果が確認できたらその対策を歯止めとして標準化を行います。
標準化とは問題が起こらない方法、手順等を確立することです。
対策から考えた標準化を管理できるようにしていきます。
例えば、標準作業にとりこむ、設備メンテナンス時のチェックシートに追加する、作業ポイント表を作成するなどです。
ステップ8 反省と今後の計画
歯止めと標準化、管理ができたら問題は解決できいます。
しかし、他の問題や問題が発生している状況等気になることも発見できたと思います。
その状態を反省し、次の取り組むべき問題や今回改善できなかった残りの課題について計画します。
今回は「A製品の不良率が10%を超えた」と問題解決のテーマが決まっています。
「A製品の不良率を6%まで下げることができた。最終目標の1%になるように改善していく。現在判明している要因は〜〜で対策案の検討中です。この対策が上手くいけば不良率は5%程度になる見込みです。」
のようなことが考えられます。
忘れがちなことですが必ず行いましょう。
まとめ
まとめです。
- 問題の報告は問題解決ストーリー(QCストーリー)を活用して行う
- 論理的かつ統計学的なアプローチで解決、報告できる
- 問題解決ストーリー(QCストーリー)は8ステップで進める。
- 初回報告までに「現場の分析」できれば「対策案の検討、実施」まで進める
- 最終報告時は「反省と今後の計画」についても報告する
問題が起きないことが一番ですが、適切に問題解決を行い、報告することで会社での評価は上がってきます。
今回の問題解決ストーリー(QCストーリー)は品質問題に限らずどんな問題解決にも応用できます。
現場や職場の様々な問題(テーマ)を探して解決に取り組んでいきましょう。