現場で必要なお金の話

仕事の基本
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「コスト削減」かぁ。コストについて詳しく知りたいな、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑記事の内容

  1. 【現場で必要なお金の話】製造コストって何?
  2. 製造コストの計算方法
  3. 実際の現場でコスト計算するには?

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

【現場で必要なお金の話】製造コストって何?

製造コストとは製造原価のことで製品を生産するために必要なお金で、直接製造費と間接製造費で成り立っています。

その他のコストとして販売費(販売員給与、広告宣伝費など)や一般管理費(本社建物など)「がありますがこれに製造原価を加えると製品の原価となります。今回は製造原価について解説します。

製造原価は製品との関連性により2つに分類できます。

  1. 製造直接費
  2. 製造間接費

製造直接費

材料費などにみられる、製品との対応関係が明白な製造原価(製品ごとに個別計算が可能)

例:直接材料費

製造間接費

複数の製品において共通で消費されるなどの理由で、製品との個別対応計算ができない製造原価

例:工場での共同使用の工具、工場長の給料

ほかにも、製造原価は形態によって3つに分類できます。

  1. 材料費
  2. 労務費
  3. 経費

材料費

製造に使用する材料、部品などを消費したことによる原価

例:原材料費、買入部品費など

労務費

労働用役を消費したことで発生する原価

例:工員の賃金、工員の福利厚生費など

経費

材料費、労務費以外の製品製造に要した費用

例:工場建物の減価償却費や水道光熱費など

これらの分類から製造原価を6つに分類できます。

製造直接費製造間接費
材料費直接材料費間接材料費
労務費 直接労務費間接労務費
経費直接経費間接経費

家具メーカーでの製造原価を考えると以下のようになります。

  • 直接材料費例:主要材料費(家具の木材や金属など)、買入部品費(家具に取り付ける鏡やレールなど)
  • 間接材料費:補助材料費(補修用材料や接着剤など)、工場消耗品(手袋、やすりなど)
  • 直接労務費:直接工の直接作業時間賃金
  • 間接労務費:間接作業時間賃金、監督者給料
  • 直接経費:外注加工費
  • 間接経費:工場等の減価償却費、水道光熱費

製造コストの計算方法

製造コストの計算方法には個別の受注に対して計算を行う「個別原価計算」と大量生産に対して計算を行う「総合原価計算」があります。

個別原価計算

生産で必要になった製造直接費と製造間接費に分けて計算を行います。

直接労務費や直接材料費、直接経費は実際に使用(発生)した分を、間接労務費や間接材料費、間接経費などは一定の配賦(はいふ)基準で計算を行います。

  • 前提条件
    1. 直接材料費 @1000円/m 全体で500m
    2. 直接労務費 @500円/h   全体で600h
    3. 間接材料費 100,000円
    4. 間接労務費 200,000円
    5. 間接経費  100,000円
  • 製品A
    1. 必要材料 20m
    2. 必要労務費 300h

製造間接費は 材料比率で配布する

直接材料費 20m×@1,000円=20,000円

直接労務費 300h×@500円=150,000円

製造間接費 100,000円+200,000円+100,000円=400,000円

      400,000円÷500m=800円

      800円×20m=16,000円

直接材料費+直接労務費+製造間接費(配賦計算後)=製品Aの原価のので

20,000円+150,000円+16,000円=186,000円となる。

総合原価計算

生産で必要になった直接材料費と加工費に分けて計算を行います。

直接材料費とそれ以外(直接労務費、直接経費、間接材料費、間接労務費、間接経費)を加工費として計算します。

  • 製品Aの当月のデータ
    1. 製品数量 1000個
    2. 直接材料費 6,000,00円
    3. 加工費   475,000円

直接材料費+加工費=完成品総合原価

6,000,000円+47,500,00円=1,075,000円

完成品総合原価÷個数=完成品単位原価

1,075,000円÷1,000個=10750円/個

実際の現場でコスト計算するには?

実際の現場では先ほどの原価計算の考えを活用します。

VAなどのコストダウン改善と合わせて行うコスト改善があります。

実際に計画された原価と実際の原価は様々な要因で差が発生します。

その差がマイナスであれば利益が減るので改善が必要ですし、差がプラスであればその要因を明らかにし、他製品へ展開したり、来期以降も継続する仕組みづくりが大切です。

標準的な原価を設定し、実際の原価を計算し、その差(差異)を把握します。

その差異の原因を分析する改善活動を行います。

標準原価の設定

標準原価の設定計算式です。

  1. 標準直接材料費=標準原価×標準消費量
  2. 標準原価:材料価格の標準
  3. 標準消費量:製品1個当たりの材料消費量の標準
  4. 標準直接労務費=標準賃率×標準作業時間
  5. 標準賃率:賃率の標準
  6. 標準作業時間:製品1個あたりの作業時間の標準
  7. 標準製造間接費=標準配賦率×標準作業時間
  8. 標準配賦率:製造間接費の配賦率の標準
  9. 標準作業時間:製品1個あたりの作業時間の標準

事例で計算してみると

  1. 標準単価:@300円
  2. 標準消費量:1920Kg
  3. 標準賃率:400円
  4. 標準作業時間:1000時間
  5. 標準配賦率:@500円
  6. 製品数量:230個

この場合の標準原価は

標準直接材料費=標準原価@300円×標準消費量1,920kg=576,000円

標準直接労務費=標準賃率@400円×標準作業時間1,000h=400,000円

標準製造間接費=標準配賦率@500円×標準作業時間1,000h=500,000円

標準原価は576,000円+400,000円+500,000円=1,476,000円

実際には

  • 実際単価:@320円
  • 実際消費量:1950Kg
  • 実際賃率:380円
  • 実際作業時間:1050時間
  • 実際製造間接費:594,300円
  • 製品数量:230個

この場合の実際原価は

実際直接材料費=実際原価@320円×標準消費量1,950kg=624,000円

実際直接労務費=実際賃率@380円×標準作業時間1,000円=399,000円

実際製造間接費=594,300円

実際原価は624,000円+399,000円+594,300円=1,617,300円

この、標準原価1,476,000円と標準原価1,617,300円の差を分析して改善を行います。

まとめ

記事のまとめです。

  1. 製造原価を6つに分類
    1. 直接材料費 
    2. 間接材料費
    3. 直接労務費 
    4. 間接労務費
    5. 直接経費 
    6. 間接経費
  2. 標準原価を設定し、実際原価との差を分析することによりコスト改善を進めていく

現場で必要なお金の話でした。

製造現場はコストのであふれかえっています。しっかりした分析を行うことで、改善を進めていきましょう。