TPMについて詳しくなりたいな、、、。
そんな疑問にお答えします。
☑記事の内容
TPMの心得 第3回
- 清掃は点検でもある
- 「悪さ」は元から断つこと
- 強制劣化は排除する
- 基本条件を整備する
- 設備のあるべき姿は明確に
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説していきます。
清掃は点検でもある
清掃は汚れを落とすだけでなく不具合を発見する手順です。
設備の隅々まで清掃を行おうとすると、回転部や摺動部の汚れやゴミの除去が必要なります。この時に不具合を発見することが多いです。
この発見した不具合には「エフ付け」を行います。
また「エフ付け」した不具合を復元しすることを「エフ取り」といいます。
清掃を徹底的に行うポイントです
- 自らの手を汚し、仕事そのものとして清掃する
- 長年の汚れを徹底して落とす
- 設備本体のカバーやフタを開け、隅々まで清掃する
- 搬送設備、操作盤など付帯設備も清掃する
- 汚れの発生源、清掃困難個所を見極める
このように徹底的に清掃を行えば、設備に対する関心が増し、設備の構造も理解できるようになります。
この清掃活動を通じて以下を体感しましょう。
- 清掃で点検をする
- 点検で不具合を発見する
- 不具合を復元・改善する
- 復元・改善で効果を得る
- 成果による達成感を得る
「悪さ」は元から断つこと
清掃を一生懸命やっても、汚れやゴミの発生源へ対策をしなければ元に戻っていしまいます。
発生源の対策と清掃や点検の困難箇所への対策を行う必要があります。
発生源の対策では、清掃や点検で発生源の把握を行い、対策によりゼロ化または飛散防止策を実施します。
清掃や点検の困難箇所への対策は、維持管理のやりやすさ向上につながります。
誰がやっても確実に決められた手順を短い時間でできるように改善を進めていきます。
設備をあるべき姿に保つには、「清掃」「点検」「給油」「増し締め」などの基本を確実に実施する維持管理が重要です。
この維持管理を確実に行うためにも「悪さ」を元から断つことが重要です。
強制劣化は排除する
強制劣化とは、設備に必要な清掃、給油、使用条件などの決められたことを守らないために急激に進む劣化のことです。
TPMでは強制劣化を排除して自然劣化(寿命)の状態にしていきます。
自然劣化とは正しい操作、運転等に等による時間ともに物理的に進行してしまう劣化です。
強制劣化が起きている状態・環境だと「この前、部品を新品に交換したのにまた故障した」といったことが発生します。
強制劣化を排除するためには基本条件である「清掃」「点検」「給油」「増し締め」の実施が重要です。
強制劣化から自然劣化の状態にすることにより、定期保全や予防保全の基盤が整います。
基本条件を整備する
基本条件を整備することで強制劣化を防ぐことができます。
基本条件を整備するとは「短時間で清掃、点検、給油、増し締めができるように守るべき行動基準を自分たちで作成する」ことです。
作成のポイントとしては以下があります。
- 箇所の明確化
- 方法の明確化
- 基準の明確化
- 異常処置の明確化
- 周期の明確化
- 目標時間の設定
TPM活動では自分たちで点検とともに基本条件整備の基準、ルールを決めて、設備の維持管理体制や設備を故障させない仕組みを確立させていきます。
設備のあるべき姿は明確に
設備のあるべき姿とは、設備の機能や性能が最高に発揮・維持するための条件で、「必要条件」と「十分条件」があります。
「必要条件」は、絶対に必要なものでなければ設備が動かないものです。
「十分条件」は、あればより望ましいもので条件が整っていなければ設備の性能が発揮できないものです。
一般的には「必要条件」にのみ注力されていることが多く「十分条件」は見過ごされています。
設備の機能や性能を十分に発揮させるためには「十分条件」の完備が必要です。
「十分条件」が不足していると、故障・チョコ停、品質への影響、生産性の悪化等が発生します。
設備のあるべき姿を明確にし、「必要条件」はもちろん「十分条件」の維持管理を徹底することが重要です。
まとめ
記事のまとめです
TPMの心得 第3回
- 清掃は点検でもある
- 「悪さ」は元から断つこと
- 強制劣化は排除する
- 基本条件を整備する
- 設備のあるべき姿は明確に
について解説しました。
主に1ステップ活動で役立つ心得を中心にしています。
初期清掃の大切さを十分理解して行うことがTPM活動の成否を左右しているといっても過言ではありません。
目的を見据えて、初期清掃に挑みましょう。
TPM活動の心得はまだまだありますので数回にわけて続けいていきたいと思います。
活発なTPM活動になるよう、心得を全員で共有することも大切です。