「品質」って言葉よく使うけど具体的にはどんなこと?
そんな疑問にお答えします。
☑記事の内容
- 【製造業の生命線】品質とは何か理解できてる?
- よい品質にしていくために必要なこととは?
- 品質管理を行う重要性
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説していきます。
【製造業の生命線】品質とは何か理解できてる?
品質とは?
品質とは「その製品やサービスが使用目的を満たしている程度」と定義されています。
つまり、「お客様に求められたものを納めた時、どのくらい満足してもらえたか?」ということです。
品質=お客様の満足度 ということです。
「品質が良い」とは
「品質=お客様の満足度」である場合、品質が良いというのはどういうことなのでしょうか?
実は生産側からは判断できないのです。
お客様が求めている「コト」によって変化してくるからです。
例えば、価格は高くても、お客様が性能重視であれば「性能の良さ」が「品質の良さ」となります。
たとえ性能が低くても、お客様が価格重視であれば「価格の低さ」が「品質の良さ」となります。
たとえ価格が高く性能が低くても、お客様が納期重視であれば「納期の短さ」が「品質の良さ」となります。
品質は製品の出来栄えや性能だけでは判断できないということです。
つまり、「品質がよい」とはお客様が何を求めているのかで基準が変化するものなのです。
よい品質にしていくために必要なこととは?
狙いの品質を決める。
お客様が品質を判断する代表的な視点としてQCDがあります。
- Q=Quality 品質
- 品質製品やサービスそのもののスペック
- C=Cost コスト
- 製品やサービスの原価・費用
- D=Delivery 納期
- 製品やサービスのお届け日・納品日
このQCDのバランスをどうするか?を考えて「狙いの品質」決めていきます。
「狙いの品質」はお客様を中心に決めることが重要です。
- どんなお客様か?
- QCDの視点において何を求めているのか?
など「お客様を取り巻く環境」について明確にしていく必要があります。
QCDの優先順位を明確にする
QCDのバランスである「狙いの品質」を達成するために企業内でのQCDの優先順位を明確にしておく必要があります。
第1優先 品質
最も優先すべきは品質です。
製品品質が水準以下に低下するとクレーム等の発生により信頼が低下し、注文がもらえないといった事態になってしまうかもしれません。
また、手直しや廃棄といった納期遅延やコスト増大へつながってしまします。
ですから製品品質は最優先とします。
第2優先 納期
品質の次に優先すべきは納期です。
お客様にとって納期は注文決定の重要要因だからです。
納期に遅れると信頼が低下し注文がもらえないといった事態になってしまうかもしれません。
また、納期が長い、安定しないと注文がもらえません。
ですから納期を第2優先とします。
第3優先 コスト
納期の次に優先すべきがコストです。
コストは企業の利益に直結します。利益に影響があるということは他社との競争力にも大きな影響があるということです。
コストが高すぎると価格にも影響がでてしまいます。
他社と比較して価格が高すぎると注文がもらえないといった事態になってしまいます。
まとめると
- 性能やスペックである「品質」は絶対に守る
- お客様から要求された「納期」で他社との優位性を持つ必要がある
- お客様の期待に応えられる「コスト」を実現する
ということを守っていきながら「狙いの品質」を達成していく必要があります。
納期重視のお客様向けの製品だからと「納期を最優先の生産」ではなく「製品品質を確保して納期を優先する生産」を行うということです。
品質管理の基本的な考え方 11項目
最優先すべき製品品質を管理する「品質管理」の基本的な考え方です。
この考え方は「検査する人」はもちろんですが「造る人」「管理する人」も知っておくべき重要なことです。
- 品質第一
- 顧客志向
- 後工程もお客様
- プロセスも管理する
- 重点志向で問題・課題に取り組む
- 事実に基づく管理
- 管理のサイクル
- ばらつきの管理
- 変化点管理
- 見える化
- 全員参加で取り組み
説明していきます
品質第一
お客様は、提供する製品やサービスが良くなければ購入しません。
お客様は、製品やサービスの「品質を第一」に考えています。(当たり前と認識している。)
ですので、企業でも全員が「品質第一」とした考え方で品質管理を推進していく必要があります。
後工程もお客様
製品やサービスがお客様に満足していただけるどうかが非常に重要です。
お客様を最重要視する考え方を「顧客志向」、「マーケットイン」、「お客様が第一」といった言葉で表すことがあります。
プロセスも管理する
製品の品質だけでなく、その製品の品質が常に良いものが生み出せるようにその「プロセス(過程、仕組み)」に着目することが重要です。
製品の品質が悪いということは、その製品を生産している「プロセス」に問題があるということです。
「品質は工程でつくる」という考え方が重要です。
重点志向で問題・課題に取り組む
「優先順位」を明確にして取り組むことが重要です。
お客様に迷惑をかけたもの(クレーム等)、数の多いもの、コストに影響があるもの、など影響の大きいものから取り組んでいく来ます。
このような考え方を「重点志向」と呼びます。
QC7つ道具の「パレート図」などを活用し、重点志向すべき内容を把握します。
事実に基づく管理
品質管理は「事実」を重視します。
事実情報を入手し、判断して行動することが重要です。
データを入手し統計的手法である「QC7つ道具」を活用して事実を確認し分析していきます。
管理のサイクル
PDCAサイクルのことです。
品質管理の「管理」は{PDCA」を回すことです。
- P=Plan 計画
- D=Dp 実施
- C=Check 確認
- A=Actiom 対策
ばらつきの管理
製品やサービスには「ばらつき」が発生します。
「ばらつき」が大きくなると重大問題に発生する可能性があります。
統計的手法を活用し「ばらつき」を管理し、「ばらつき」を最小限にする活動を行います。
変化点管理
材料、方法、人など変化があったことと品質を関連付けて管理します。
変化点と品質の相互関係を確実に管理することで、問題の発生を予防していきます。
見える化
品質管理活動の活動状態や結果などのプロセス等を見える化します。
誰が見ても理解できるようにしておくことが重要です。
全員参加で取り組み
品質管理は製造部門などの特定の部署や組織のみで実施したのでは大きな成果が出ません。
企業が一団となって製品やサービスの品質向上取り組むことで大きな成果を生み出せます。
まとめ
記事のまとめです。
- 品質とは「その製品やサービスが使用目的を満たしている程度」
- 生産者目線でなく、お客様目線での品質が重要
- 企業内でのQCDの優先順位は品質→納期→コスト
- 品質管理には11の考え方がある
品質についての基本について解説していきました。
製品といった形のあるものの品質はイメージしやすいですが、サービスや業務といったものにも品質は重要です。
今回の「品質」の考え方は様々な提供物(製品、サービス、業務)に応用ができますので、しっかり理解しておく必要があります。