作業手順書作らないとな、、、。
そんな悩みにお答えします。
☑記事の内容
- 作業手順書はなぜ必要なのか
- 作業手順書の作成手順
- 作業手順書と一緒に必要な帳票類
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説します。
作業手順書はなぜ必要なのか?
作業手順書が必要とされる理由は3つあります。
- 正しい作業を定めるため
- 作業の管理のため
- 知識の共有化のため
正しい作業を定めるため
作業手順の目的として一番イメージしやすいことです。
正しい作業手順を定め、文書化します。この「正しい作業」とはどういった作業でしょうか?
「正しい作業」とは
- 安全にできる
- 正確にできる
- 早くできる
- 楽にできる
- 不良の発生なくできる
この5つの要求を高い次元で満足している作業のことです。
「正しい作業」を設計し、だれでも同じように行える(標準化)ための指南書として作業手順書を作成するのです。
作業の管理のため
作業手順書は作業の管理にも必要になってきます。
作業手順書どうりの作業が行われているかを管理することで仕事の確からしさを確認します。
例えば工程を管理する管理監督者の場合は。作業が正しく行われているかのチェックの基準として作業手順書を活用します。
また、作業者においても他の人に作業を教える場合や自分の作業の見直し時に作業手順書を活用します。
作業者、管理監督者等、現場に関係する人の教科書的存在としての役割となるのです。
知識の共有化のため
作業手順書を通じて知識を共有化します。
「見て覚えろ」では正しい作業は伝わりません。文書として明確にすることで正しく伝えることができるのです。
作業手順書を作成していく途中、出来上がっている作業手順書の改定の手順を通じて知識の共有化を行います。
また、熟練作業者や効率が良い作業者の独特な作業手順を作業標準書として取り入れることで「カン・コツ」を共有することができます。
これにより組織全体の知識、技術力の向上につながっていきます。
作業手順書の作成ステップ
作業手順の作成は以下のステップで行っていきます。ここでは何もないゼロスタートでの手順を説明しています。
現在ある作業手順書を改定、見直し行う場合は「ステップ1~ステップ3」を理解しつつ「ステップ4」から行います。
- ステップ1 作成の準備
- ステップ2 設計
- ステップ3 作業者支援の設計
- ステップ4 トライアルの実施
- ステップ5 補助ツールの整備
ステップ1 作成の準備
作成の目的の明確化
何のために手順書を作成するのかを明確にします。
目的がなく、なんとなく作成すると利用することなく作っただけの手順書となってしまいます。
何のために、誰がどういったときに使う手順書を作成するのかを明確にする必要がります。
作成体制の明確化
手順書の作成体制とは「誰が作成」「誰が承認」「誰が知見や品質面の保証を行う」といった流れのことです。
通常は承認印の欄もこのメンバーが押印できるように作成します。
規定要求事項の明確化
作業における規定事項を確認し、明確にします。
法令や条例や製品規格、設計要求事項、JIS規格などの技術規格、業界団体の慣例、過去クレームの対策など対応する必要があるものをすべて明確にします。
ステップ2 設計
ステップ1で調べた規格などを満たす作業を設計します。
作業内容、作業順序、確認すべき項目などを明確にし、作業者が認識しやすい作業単位で設計します。
作業項目は箇条書きで記入します。手順の変更や差し替えがあった場合に対応しやすいからです。
現実的な、作業者の能力に頼らない作業手順を作成します。
ステップ3 作業者支援の設計
手順が決まったら、作業者が作業を行いやすく、間違えにくい仕組みを設計します。
手順書のわかりにくい項目を作業委ポイント票や要領書を作成します。
作業忘れや間違いなどを防ぐ「ポカヨケ」や危険な動作をした場合の「フューエルセーフ」なども設計します。
ステップ4 トライアルの実施
実施に作成した作業手順が有効かトライアルを実施します。
トライアルでは作業者が手順どおりに作業しているか、やりにくそうではないかなどを確認します。
手順どおりに作業ができない場合は、作業実態や現場に合わせて修正や改善を行います。
ステップ5 作業補助ツールの整備
作業手順通りの作業ができるようになったら、作業者支援設計で検討したツールを導入します。
作業ポイント票や要領書は作業場所にて見やすい場所、大きさで掲示し、作業中に確認が容易にできるようにします。
ポカヨケ等も実際に行程に設置し、動作の確認を行います。
作業手順書と一緒に必要な帳票類
作業手順書の作成に一緒に作成、整備しておくべき帳票類を紹介します。
- 作業ポイント票(作業要領書)
- 設備の取り扱いマニュアル
- 機器類の取り扱いマニュアル
- 作業内容を詳細に記述したフローチャート
- 異常時の対応方法フローチャート
- 作成物の見本
- チェックリスト
これらを作成し、作業手順書の写しと一緒に工程に設置し、作業者が自由に閲覧できるようにしておくことが大切です。
まとめ
記事のまとめです。
- 作業手順書の必要な理由
- 正しい作業を定めるため
- 作業の管理のため
- 知識の共有化のため
- 作業手順書の作成手順
- ステップ1 作成の準備
- ステップ2 設計
- ステップ3 作業者支援の設計
- ステップ4 トライアルの実施
- ステップ5 補助ツールの整備
- 作業手順書と一緒に必要な帳票類をまとめて工程に設置する
作業手順書の作成方法の基本について解説しました。
作業手順のない作業はその作業を確認、監査することができないため品質の確保やコスト管理が困難になります。
管理監督者の方は作業手順の有無の確認を、作業者の方は上司に手順書の作成を提案することから始めてみましょう。
手順書づくりをとおして職場の地力が向上するはずです。