【知らずに使っているかも???】VA、VEの違いと意味を解説

改善
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製造業でよく聞くVA、VEって、何のことなの?

そんな疑問にお答えします。

☑記事の内容

  1. VA、VEの違いと意味を解説
  2. VA、VEの進め方とは
  3. VA、VEの注意点など

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説します。

VA、VEの意味とは?その違いについても解説

VAとは、Value Analysis(バリューアナリシス)の頭文字で「価値分析」のことです。製品やサービスの価値を分析し、その向上を図るものです。

VEとは、ValueEngineering(バリューエンジニアリング)の頭文字で「価値工学」のことです。製品やサービスの価値とコストの関係(価値=機能÷コスト)とし、価値を向上させることです。

似たような言葉で似たような意味を持ちますが、大きな違いは

  • VA=すでに製品化されているものを対象とする手法
  • VE=製品開発の段階で行う手法

だというところです。

VAとは、既存の製品に対して生産にかかるコストを研究し、改善を行います。

作業方法の改善などによる製造の効率化や、素材や工法の変更によるコストダウンなどを行います。

重要なのは「製品に必要な機能や品質は低下させずにより少ないコスト」を目指すことです。

また、コストをそのままに製品やサービスの品質、機能を向上させて相対的なコスト低減を行うVAもあります。

例えば自動車では年次改良のタイミング等で、部品の点数を削減したり薄くすることで軽量化をを図り(改善)、燃費や運動性能(価値)を向上させるなどが行われています。

つまりVAとは「品質や性能といった”価値”を維持したコストダウン」と「既存製品の価値向上」を行うことです。

VEとは、開発段階においてできるだけ低いコストで必よな機能や品質を実現するために研究を行います。

日本VE協会の定義としては「最低の総コストで必要な機能を確実に達成するために、組織的に、製品またはサービスの機能の研究を行う方法」とされています。

つまりVEと開発・設計段階における「品質や性能といった”価値”を維持したコストダウン」と「既存製品の価値向上」を行うことです。

VA、VEの進め方とは

VA,VEを進めていく手順は以下の手順です。

  1. VA・VE対象の選定
  2. 情報の収集
  3. 機能定義
  4. 機能評価
  5. 代替え案の抽出
  6. 代替え案の具体化
  7. 提案と実施

VA・VE対象の選定

製品・部品・組立品等で生産量の多いもの、割高なもの、自社製作に取り組みたいものなどから対象を選定する。

対象を決定後は、コストダウン目標や日程計画、チームメンバーの招集を行う。

情報の収集

対象に関する情報をできるだけ多く集める。

  1. 材料の種類
  2. 材料の寸法
  3. 製作法
  4. 生産ロット
  5. 治工具
  6. 設計
  7. 構造
  8. 検査方法
  9. 使用方法
  10. 想定される使用者

などの情報を集めます。

機能定義

製品全体の機能を各部分の機能に分解し、抽象化する。

例えばやかんであれば「つる」「本体」「ふた」「注ぎ口」というように各部品に分解する。

機能を名詞+述語で定義することで、すべての機能が目的と手段の関係となるように機能系統図を作成する。

やかんであれば「水を加熱する」といった機能から各部品ごとの機能「つる」には「本体を移動る」→「本体を吊る」、「注ぎ口」であれば「水を出し入れする」→「湯を注ぐ」と展開できる。

機能評価

各機能のコストを算出し、削減の目安を立てる

代替え案の抽出

各機能を果たす他の手段について考え、アイデアを出す。

代替え案の具体化

代替え案を技術的、コスト的の両面で評価し、修正を加えて最終案を決定する。

提案と実施

社内ルールに沿って提案し実施を行う。

VA、VEの注意点など

実際にVA,VEの提案や実行を行う時の注意点です。

  1. VA、VE提案は初期の段階で行う
  2. VAとVEを分けて考えない
  3. ユーザー主体で考える

VA、VE提案は初期の段階で行う

VA、VEは初期の段階で行いましょう。早期の取り組みよって効果が大きくなるからです。

設計初期や新製品の量産直後、新サービスのリリース後など、少しでも早いタイミングで着手し、改善の提案を行いましょう。

VAとVEを分けて考えない

VAは現場主体で、、、。VEは開発の問題だから、、、。と別々に考えることはマイナスです。

活動自体は一緒にはできませんが、VA活動でのアイデアをVEに活かす、VEでの成果をVAび活かすことはとても重要です。

ユーザー主体で考える

コストダウンはユーザーのためと考え、業績向上への影響はユーザーが価値を評価するからこそ達成できると考えましょう。

あくまでも、現状の機能を維持してコスト低減を行うのであって、企業本位のコスト低減に陥らないように気を付けることが大切です。

まとめ

記事のまとめです。

VAとは、Value Analysis(バリューアナリシス)の頭文字で「価値分析」のことです。製品やサービスの価値を分析し、その向上を図るものです。

VEとは、ValueEngineering(バリューエンジニアリング)の頭文字で「価値工学」のことです。製品やサービスの価値とコストの関係(価値=機能÷コスト)とし、価値を向上させることです。

VAは今ある製品やサービスを対象として、VEは開発段階の活動です。

VA,VEについて解説しました。

コスト改善が価値の低下にならないように十分な機能定義を行い、ユーザーにとっての価値が向上するVA,VEを実践していきましょう。