【現場を知るために絶対必要!!】作業測定の方法とは

改善
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現場の今の作業は正しいのかな、、、?

現場の今の作業は正しいのかな、、、?

そんな疑問にお答えします。

☑記事の内容

  1. 【現場を知るために絶対必要!!】作業測定とは?
  2. 稼働分析の手法 2つ紹介
  3. 時間研究と標準時間設定の手法 5つ紹介

「作業内容」は品質や出来栄えに影響するため正しいのかどうかの判断がつきやすいです。しかし「作業時間」は正しいのかどうかは見た目だけではわかりません。

「作業時間」を正しく測定し、標準的な時間を設定するための作業測定についてです。

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説します。

【現場を知るために絶対必要!!】作業測定とは?

作業測定とは、「作業または製造方法の実施効率の評価および標準時間を設定するための手法」と定義されています。

現場の作業時間が標準的なのかどうなのか?さらに効率的な作業配分はできるのか?といった現場管理で必要な測定となります。

作業測定の目標は大きく4つです。

  1. 標準時間の設定
  2. 作業方法の改善及び標準化
  3. 適正なライン編成(適正な作業配分)
  4. 生産効率の測定

作業測定は「稼働分析」と「時間研究」の2つから成り立っています。

それぞれについて次項から解説していきます。

稼働分析の手法 2つ紹介

稼働分析とは、作業者または機械設備の稼働率もしくは稼働内容の時間構成比率を求める手法です。目的として、稼働率を把握するとともに「非稼働」を分析し、その要因を排除し稼働率を上げることです。

以下の2つの手法があります。

  1. ワークサンプリング(瞬間測定法)
  2. 連続観測法

ワークサンプリング(瞬間測定法)

ワークサンプリングとは、瞬間的に作業者や機械が「何をしているのか」を観測して記録・集計し(サンプルを集計し)、そのデータに基づいて作業状態の発生の割合を統計的な考えにより分析するものです。ワークサンプリングは繰り返し作業に適した手法です。

ワークサンプリングの主な目的として大きく以下の3つがあります。

  1. 生産を阻害する要因を把握して作業の改善に役立てること
  2. 人や機械設備の稼働率を調査し、非稼働要因を発見し改善すること
  3. 標準時間を設定するための余裕率を求めること

ワークサンプリングのメリットは

  1. 観測が容易なため低コスト
  2. データの整理が行いやすい
  3. 作業者が観測者を意識しにくい

です。

デメリットは、深い分析には不向き、サンプル数が少ないと誤差が大きくなることです。

ワークサンプリングでは各作業を分類します。

作業の分類 性質
準備段取り作業1ロットまたは1日に1回行われる材料の準備、治工具などの段取り
主作業実際の生産に直結する作業切削、穴あけ、組み立てなどの実質作業
付随作業  主作業に付随して規則的に発生するが、仕事の目的に対して間接的に寄与する作業材料や工具の取り付け、取り外しなど
作業余裕 主作業を行うなかで不規則・偶発的に発生する作業や状況 機械の調整、掃除、注油、図面読み合わせなど
職場余裕 職場環境により不規則・偶発的に発生する作業や状況打合せ、材料待ち、作業指導など
疲労余裕疲労を回復するための遅れ休憩など
用達余裕人間として普通に発生する生理的欲求トイレ、水飲み、汗拭きなど
非作業個人的理由による非作業。業務としては本来存在しないもの遅刻、雑談、手休め、作業中の喫煙など

連続観測法

連続観測法とは、作業内容や稼働状態を継続的に観測する分析手法です。

非繰り返し作業や、サイクルの長い作業に適しています。

メリットは、きめ細かい問題の摘出ができることです

デメリットは、作業者が観測者の目を気にして正確なデータが取れない、労力(コスト)が多くかかることです。

時間研究と標準時間設定の手法 5つ紹介

時間研究とは、「作業を要素作業または単位作業に分割し、その分割した作業を遂行するのに要する時間を観測する方法」と定義されています。

時間研究の目的は、作業の効率化と標準時間の設定です。

標準時間とは、「その仕事に適性を持ち習熟した作業者が、所定の作業条件の下で、必要な余裕を持ち、正常なペースによって仕事を遂行するために必要とされる時間」です。

標準時間の構成は準備段取作業時間と主体作業時間に分類され、いずれの時間も正味時間と余裕時間に分けることができます。

正味時間とは、主体作業、準備段取作業を行うために必要な時間で、規則的、周期的に繰り返される作業時間です。

余裕時間とは、対象業務において不規則・偶発的に発生し、作業を行うために必要と認められる作業の遅れです。

余裕時間はさらに管理余裕時間と人的余裕時間に分けることができます。

標準時間設定の手法

  1. ストップウォッチ法
  2. 実績資料法
  3. 経験見積法
  4. 標準時間資料法
  5. PTS法

ストップウォッチ法による標準時間の設定手順は以下の通りです。

  1. 作業を複数の要素作業に分解し、要素作業ごとにストップウォッチで作業時間を観測します。
  2. 観測時間の個人差(作業者の差)を補正するためにレイティング処理を行い時間を修正します。
  3. ワークサンプリング法により余裕率を算出し、正味時間に余裕時間のを加えて標準時間とします。

実績資料法

実績資料法は、作業日報などの過去の実績資料を基礎に、標準時間を見極める方法です。

個別生産や繰り返しが少ない作業に適していますが、精度が低いという欠点があります。

経験見積法

経験見積もり法は、熟練工や監督者などの経験者が過去の経験から時間を見積り、標準時間として設定する方法です。

個別生産や繰り返しが少ない作業に適していますが、主観的で見積者のクセが出るなどの欠点があります。

標準時間資料法

標準時間資料法は、作業時間のデータを分類・整理して、時間と変動要因との関係を数式、図、表などにまとめたものを用いて標準時間を設定する方法です。

仕事自体は異なるが、同じ要素作業の発生が多い作業に適しています。作業時間を観測する手間が省けますが、標準時間資料をまとめる手間がかかる欠点があります。

PTS法

PTS法は、作業を微動作レベルまで分解し、あらかじめ定めた微動作ごとの作業時間を積み上げて、標準時間を決定する方法です。

短いサイクルの作業や、繰り返しの多い作業に適しています。専門的なスキルが必要です。

まとめ

記事のまとめです。

  1. 作業測定とは、作業または製造方法の実施効率の評価および標準時間を設定するための手法
  2. 作業測定の目標は大きく4つ
    1. 標準時間の設定
    2. 作業方法の改善及び標準化
    3. 適正なライン編成(適正な作業配分)
    4. 生産効率の測定
  3. 作業測定は「稼働分析」と「時間研究」の2つから成り立っている

作業測定について解説しました。

現場を知るためには何がどのくらいの時間を基準に行われているかを知ることが重要です。

これらの手法で得た標準時間が改善のベースの時間にもなったりします。個別の標準時間が決まっていない場合はぜひ作業測定を行ってみましょう。