パレート図、パレート図、、、。
詳しく知りたいな。
そんな悩みのお答えします。
☑記事の内容
- 【実践!QC7つ道具】パレート図
- パレート図のよくある疑問
- パレート図でできること、できないこと
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説します。
【実践!QC7つ道具】パレート図
パレート図について職場でドヤ顔できるレベルまで解説ていきます。
- パレート図の定義とは
- 「パレート」って何?
- パレート図のメリットと特徴
- パレート図の項目の選定について
パレート図の定義とは
パレート図についてのJIS規格で定義されているものは以下になります。
パレート図とは、項目別に層別して、出現頻度の大きさの順に並べるとともに、累積和を示した図。例えば,不適合品を不適合の内容の別に分類し、不適合品数の順に並べてパレート図を作ると不適合の重点順位がわかる。
JIS Z 8101-2:1999より引用
「パレート」って何?
パレート図の「パレート」はイタリアの経済学者の名前です。
このヴィルフレド・パレートが発見した「パレートの法則」が有名です。
パレートの法則とは「80:20の法則」「働きアリの法則」とも呼ばれるもので、
全体の数値の大部分(成果の80%)は、全体を構成するうちの一部の要素(上位20%のメンバー)が生み出しているとした法則です。
パレート図のメリットと特徴
メリット
パレート図のメリットは主要な項目のが一目でわかること「重点志向」や「優先付け」に役立つ(説得力がある)ことです。
全体に占めるそれぞれの割合や重要度が棒グラフの面積で視覚的に理解しやすいです。
また、累積割合を表す折れ線グラフにより「上位3項目の割合は?」なども読み取りやすいです。
特徴
パレート図は以下のような図表です。
- 1つのデータについて個別件数と全体の割合を表す。
- 2つのデータの相関(不良件内容と金額など)を表すことはできない。
このことからパレート図の特徴が見えてきます。
最も重要な項目を見つけ、他人に伝えることができるという特徴です。
データの集計、整理を行った時点で実際は最も重要な項目に気づきます(比率が高い、数値が大きい)。
ですが、他人に説明する必要があったり、チームで活動する場合は共通した認識を持つことが必要なのです。
そのため、重要な項目について誰でもわかりやすく、その後の説明や活動につながるように理解してもらうためにデータをパレート図にします。
ですから、パレート図は最も重要な項目を見つけ、「他人に伝えることができる」のです。
パレート図の項目の選定について
パレート図はデータの項目選定が重要です。
実際に「工場の品質不良を低減する」活動となった場合何をテーマにして活動しますか?
このテーマ=データの項目選定について考えます。
パターン1 上司から具体的な指示がある場合
この場合は上司の指示に沿ったデータ項目を選定しましょう。
例えば「B製品の不良金額を減らしてほしい」であれば「B製品の不良について金額の(場合によっては工数も)データ」を取得します。
パターン2 上司からの指示だが手段は任せられた
この場合の上司氏の指示は「B製品のコストを削減してほしい」といった具合です。
この場合は「B製品のコストについてのデータ」の分析の後にデータ項目の選定を行います。
コストと言われたから「不良金額」や「直接材料費」のデータを集めると、全体のコスト影響が少なくて効果が上がらない(パレート図のテーマは削減できたがB製品全体のコストにあまり影響がない)といった事態になります。
また、報告時にもなぜその取り組みをしたかの説明ができません。
ですので上司の指示があいまいな場合は事前の分析後、
データ項目の取得といった流れになります。
パターン3 自分の発想で問題解決行動を起こすとき
この場合は、自身が「○○が問題だな」と感じていることに対して解決行動を起こします。
素直にその問題が「時間」への影響が大きいのか、「お金」への影響が大きいのか、「モノ」への影響が大きいのか考えてみます。
この問題が「何の」問題なのか?本当に重要なのか?を考えるためにデータの項目として「何の」の全体操のデータを取得します。
問題が「雑用が仕事の時間を圧迫する」であったら「仕事の時間」についてのデータを取得します。
そのデータをパレート図にすることで本当に取り組むべき問題が明らかになります。
自身が「問題だな」と感じていることを取り組んだ時の成果の予測も立てることができます。
このように状況に応じてデータの収集の対象が変化します。
データ項目の考え方としてはまず「層別」を行い、その後
データの特性値を決定します。
層別の考え方は、製造現場の製品不良を層別する例を考えると
- 現象で:不良項目別、発生原因別など
- 時間で:月別、週別、曜日別、季節別、時間帯別など
- 場所で:工程別、ライン別、設備別など
- 特徴で:材料別、機械別、サイズ別など
- 材料で、部品別、メーカー別、素材別など
といった様々な切り口で層別していきます。
その後のデータ特性の考え方としては
- 数量で:発生数、停止回数、異常数、不良数など
- 金額で:不良金額、在庫金額、売上金額など
を検討します。
パレート図のよくある疑問
- パレート図は社会人としてどのくらい必要ですか?
- パレート図はパソコンで作図できますか?
- パレート図じゃなく円グラフとかではだめなのですか?
パレート図は社会人としてどのくらい必要ですか?
社会人には必須といってもいいくらい必要です。
仕事は限られた時間でできるだけ高い成果を出すことが求められます。
その時に大切なことは重点志向だからです。
パレート図にするようなデータの収集方法(データとその全体との比率)を常に考えるようにすれば重点志向が自然と身に付きます。
また、報告の時にも約に立ちます。
何かの裏付けデータとして数字の並んだ表の横にパレート図を添えるだけで相手は理解をしやすくなるからです。
パレート図はパソコンで作図できますか?
MicrosoftのExcel2016以降でしたらテンプレートがあるので簡単に作図できます。
データさえそろっていれば10分程度で作図可能ですので試してみてください。
詳しくはこちらの記事にあります。
パレート図じゃなく円グラフとかではだめなのですか?
職場や企業によるが、生産関係ならほぼダメ。
正直、円グラフでもいいのかな。と思います。
特に一般の方に向けて説明資料を作る場合は円グラフのほうが適していると思います。
しかし、会社内の資料、特に生産に関わる業種ではパレート図である必要があります。
なぜなら、ほとんどの場合、報告すべき相手の上司はパレート図について学んだことがあり、知っているからです。
これは一般の方には円グラフのほうが向いている意見と同様な理由です。
人は知らないことより知っていることが「良い」と感じますし、見慣れている(自分がよく使う)表現のほうがが理解への労力が少ないからです。
なので職場や企業でパレート図を使っている様子があれば円グラフでなくパレート図を使いましょう。
パレート図でできること、できないこと
パレート図でできること
- どの問題が最も問題なのか見つけることができる(見つけてもらえる)
- 問題の大きさの順位が一目でわかる(わかってもらえる)
- ある項目が全体のどの占めているのかを知ることができる(知ってもらえる)
- 複数の項目の改善によって得られる効果の推測ができる(推測してもらえる)
- 問題の大きさが視覚的に理解できるので説得力がある(理解しやすいから)
パレート図でできないこと
- 2つのデータの相関関係から何かを発見する
- 「作図しなければわからなかった」といった気づき
- 言語データの取り扱い
このようにできること、できないことを理解しておけば効果的にパレート図を使いこなせるはずです。
まとめ
記事のまとめです。
- パレート図は説明用の図である(対自身、対他人とも)
- データ項目の選定が重要
- パレート図にもできなことがある
QC7つ道具の王様であるパレート図について解説しました。
実際に作図する意味を理解していただけたと思います。
実践的なパレート図を使えるよう報告や発表を通じてレベルアップすることが大切です。